朝から晩まで「イヤイヤ」、口を開けば「イヤイヤ」、むしろ「イヤ」以外の言葉を知らないのでは?と思わずにはいられない、通称「イヤイヤ期」。
2歳ごろから発動する「イヤイヤ」ですが、そろそろ落ち着いてくれるはず…という切実な願いは叶わず、むしろパワーアップしてやって来るのが3歳児の反抗期です。
魔の2歳児との違いは何でしょう?そして乗り切るすべはあるのでしょうか?
どうして「魔の2歳児」よりもパワーアップしているの?
2歳の時に比べると、子どもたちの知識は驚くほど増え、思考力が発達したことに加えて体力もつき、すべてがパワーアップしています。
泣くことも暴れることも体力が必要ですが、その体力が十分に備わっているのが3歳児なのです。泣き疲れるまでの道のりは果てしなく、途方に暮れてしまいそうです。
そして言葉も豊かになり、口が達者になってきます。どこで覚えたのか、大人顔負けの言葉を使って反論してくることも。
とにかくあれもこれも「イヤ!」の一点張りから、自分が納得できなければ反抗するという変化が見られ、より高度なイヤイヤになる特徴があります。
言葉を理解しているけれど、注意されるとやらないか反対のことをします。また、できることも「できない」と言い、やってもらいたがります。
この意図的な反抗が、おうちの方をイライラさせてしまう原因をたくさん作っているのかもしれませんね。
知力・体力ともに育ち、自己主張がより強くなるので「イヤイヤ期」を通り越して、まさに「反抗期」です。そんなのなくても良いのでは。と思うところですが、子どもの成長にとって大切な時期であり、「第一次反抗期」と言われる成長過程の1つです。
3歳児のイヤイヤ反抗期には特徴がある?
あれもこれもイヤ!と泣きじゃくり、しまいには暴れだしてしまうこともあるこの時期。子どもの地雷を踏むまいと先回りしてみても、大人には理解できないこだわりを発動させ事態は常に予測不能です。
しかし、この時期の謎のこだわりや手に負えない言動には、ある程度の特徴があります。その特徴から対策を練り、なるべく平穏な日々を過ごしたいですね。
【特徴その1】自分の思い通りにしたい!
3歳になると、自分でできることが増えていきます。何でも自分でやってみたいけれど、まだまだ思い通りにできないことも多い時期です。
自分でやりたいという欲求と思い通りにできないという苛立ちが、泣きわめいたり、叩く、物を投げるといった癇癪をおこしてしまいます。
自分で鍵を開けたい、電気をつけたい、エレベーターのボタンを押したい、スイッチを入れたいなど、それらをうっかり大人が先にしようものなら泣きじゃくります。
トイレに行きたくて我慢の限界にきていても、玄関でたどたどしく鍵を開ける子どもを抱っこしたまま優しく見守るなんて偉業を成し遂げられるのも、ある意味では貴重な体験です。
鍵穴に1回で鍵を差し込めたら上出来ですよね。さらに差し込んだ鍵を逆方向に回すなんていつものことです。このまま限界突破してしまうのと、子どもから鍵を奪いギャン泣きされるのと、どちらが辛いか判断が難しくなってきます。
こうしたケースで、もしもうっかり大人が先に手を出してしまい子どもが泣きわめいてしまった場合の対応を考えます。
①まずは大人の環境を整える
このケースでは、まず自分のトイレを済ませるため、子どもには泣いていても安全な場所で待ってもらいます。対応する大人に余裕がなければ、反抗期の子どもの相手はできません。
➁気持ちの代弁をしてあげる
3歳になり語彙が増えたとはいえ、自分の気持ちを上手く言葉にできないこともあります。「自分でやりたいのにママがやってしまったのがイヤだったんだね」など、その時の気持ちを代弁してあげると、子どもは気持ちを分かってもらえたと安心します。
③やり直しをする
子どもの気持ちに寄り添い、受け止めただけでは落ち着かない場合、再び玄関に戻り鍵を開ける動作をやり直しましょう。やり直して子どもが納得できれば、解放されます。
そんな茶番が1日に何度も起こるこの時期ですが、過ぎてしまえば笑い話になるので、あまり深刻になりすぎずに上手く付き合っていきましょう。
【特徴その2】こだわりたい!
大人には理解できない強いこだわりを発動してくるのも、反抗期の特徴です。叶えてあげられることならまだ良いですが、物理的に無理なことまで要求してくる場合もあります。
3歳児になると、自分のことが分かり始め、したいこと・したくないこと、好き・嫌いがはっきりしてきます。そして自分がやりたいと思うことを止められたり、したくないことを強要されることに対して強く反発します。
お出かけの際に「お気に入りのキャラクターの仮面をつけてないとイヤだ!」と、覆面レスラーのようなことを言い泣きわめいたり、なぜか靴を左右逆に履いて、そのことを指摘しようものなら逆ギレされ出かけるどころではなくなります。
また食べ物へのこだわりも強く、卵の黄身が黄色いのが許せない、ドーナツの穴が食べたい、折れたバナナを元に戻したいなど、無理難題に答えなければならないおうちの方の苦労は計り知れません。
①やりたいようにやらせてみる
服や持ち物にこだわりを見せた時、命に危険がなく周りに迷惑がかからない範囲で、1度好きなようにさせてみましょう。満足して、少し冷静になってくれるかもしれません。
➁理解不能でも一旦気持ちを受け止める
完全にむけているリンゴの皮を「むいてー!!」と言われても、一旦受け止めます。残っていなくても「皮が残っているのがイヤなんだね」と気持ちの代弁をします。
とにかく子どもに寄り添う姿勢が大切です。その真摯に向き合う姿勢は子どもに必ず伝わります。大人の余裕を見せてあげましょう。
③提案して子どもに選んでもらう
したいことや食べたいものなどを2択にして、子どもに選んでもらうのも1つの方法です。子ども自身が選ぶので、納得してスムーズに過ごせるかもしれません。
もちろん、どんな対策を講じても上手くいかない場合がたくさんあります。心を無にして見守り、諦めることも必要です。
【特徴その3】とにかく寝ころびたい!
イヤイヤ反抗期に定番の、気に入らないと寝ころんだり座り込んだりする行動は、時・場所・天候すら選びません。さらに誰が見ていようと関係ありません。
スーパーなどで買い物をしている時に、自分の欲しい物が買ってもらえないと床に寝ころがったり座り込んだりして、自分の要求を通そうとします。
抱き上げようとしたら、とれたてピチピチの魚のように体をよじらせたり暴れたり、または全身の力を抜いてみたりと、子どもの方も必死です。人目も気になる大人にとっては、とても困った行動です。
しかし、これもイヤイヤ反抗期だけに見ることができる貴重な光景なので、子どものダイナミックな自己表現を目に焼きつけておきましょう。
また、屋外バージョンもあります。公園から帰りたくない時に地べたに寝ころがる、または座り込みます。雨の日だろうがおかまいなしです。泥だらけになった子どもの姿を見ると絶望的です。夕飯の支度なんてやる気が微塵も出ません。
しかしこの絶望は、ほんのひと手間かけることで回避できるようになります。
①あらかじめ子どもと一緒にルールを決める
買い物をする前や公園で遊ぶ前に、子どもと一緒にルールを決めます。大人が一方的に決めたものは使えません。イヤイヤの餌食になります。
例えば「今日はお菓子どうしようか」と、子どもと一緒に考えてどうするかを決めます。買えないなら、その理由も説明します。子どもを納得させ、「じゃあ約束ね」となるまで話し合いをしてください。
公園の場合は「長い針がどこにきたら帰ろうか」や、帰る少し前に「あと何回すべり台したら帰ろうか」など、具体的な内容の約束ごとを子どもと一緒に決めます。
どうするかといった主導権を子どもに与えながらも、「ここまでね」というルールは前もってはっきりと決めておきましょう。
➁約束したことは必ず守らせる
約束は守るものだと教えましょう。子どもが泣こうが暴れようが、おうちの方は感情的にならず毅然とした態度で接してください。
これが1番難しいことなのですが、一貫性を持つことは、子どもも混乱しないので大切です。一貫した言動は、その後の子どもとの信頼関係にも良い影響を与えるので、踏ん張りどころです。
まとめ
イヤイヤ反抗期は子どもの成長過程の1つであり、やがて通り過ぎるものです。この時期の子どもは、「自分でやりたい」という自我の育ちからくる欲求を、自力では成し遂げられず、また自分の気持ちを上手く伝えられず「イヤイヤ」という形で表現しています。
脳の中で感情をつかさどる前頭前野が未発達なので、感情を抑えることが難しく、自分の気持ちをコントロールすることを少しずつ学んでいるのです。
そして、まだ自分の気持ちしか分からず相手のことまで考えられないので、その時の感情のまま「イヤ」「キライ」「バカ」などと、勢いで言ってしまうことがあります。自分の言葉で相手が傷つくかもしれないということまで考えていません。
子どもの感情任せに発する言葉を鵜呑みにせず、まずは気持ちを受け止めて寄り添うことを心がけたいですね。
自分は大切にされているということを実感するため、子どものやり方で大人を試しているのかもしれません。心の中で「今だけ!今だけ!」と自身に言い聞かせて、何とかやり過ごしましょう。