親の離婚で子供が感じるストレス。最小限にする方法とは?

どこの家庭でも、したくてするわけではない【離婚】。しかし、このパートナーとでは家庭を維持出来ないと考え、結論を出したのだと思います。

二人の間に子供がいれば、当然彼らの心の傷が心配ですよね。

結論から言えば、子供が受ける心の負担を小さくするには、心のケアが必要です。

自分たちの事で手一杯になってしまいがちかもしれませんが、父母の離婚は子供の心に必ず傷を負わせます。普段なら平気な、何気ない言動が更に子供の傷を深くしてしまうことも。

しかし、早い段階で子供の気持ちに寄り添い、心のケアをすれば、今後の害を最小限に留める事が出来ます。それどころか、状況によっては必ずしもマイナスとならない結果を生むこともあります。

親の離婚が子供に与えるストレスとは?

離婚が子供に負担を与えるというのは、簡単に想像できますよね。では、それが【何によって引き起こされるか】についてはどうですか?

『嫌な気持ちだろう』『片親と別れることは寂しいだろう』『家を変わるのはつらいだろう』というのは、理解出来ると思います。私の両親も別れているのですが、当時母親がこのようなことを言っていました。

しかし子の思いは、大抵、両親が考える以上に深いものです。そして、これらの心理的負荷は、一時的なものに留まらず、将来に渡って子供を苦しめることになりかねません。

それを知れば、今後どのように我が子と接するべきかのヒントを見つけられるでしょう。

両親の別れで、子供が感じる精神的負担を見ていきます。

離婚による生活の変化でのストレス

今まで一緒にいた両親の内の一人がいなくなってしまうという現実。更に転居をしなくてはならない場合も出てきます。そうなれば、これまでの生活から一変しますよね。

たとえ0歳児であっても、二親の変化は感じることが出来ます。

学童期であれば、場合によっては改姓や転校といった事も起こるので、変化は自分の中だけでなく、子供にとっての社会的な事も含まれてくるようになるのです。

更に、経済状況の変化があれば、子供は敏感に察知し『これまでと同じようには暮らせない。ガマンしなくてはならないことが増える』と、不安を覚えることになります。

一人で家計を維持しなくてはならない場合、仕事の量が増えるなどで、親が家庭を振り返る余裕をなくしてしまうと、その事にも子供は多大な負担を感じてしまいます。

親から捨てられる恐怖によるストレス

離婚後は父母の内のどちらかが親権を持ち、養育をすることになります。子供はいずれかの親と離れて暮らすことになるのです。

子供が、親権者とならなかった親から《捨てられた》という意識を持っても不思議ではありません。事実、両親が別れた直後、私自身がその感情に大きな悲しみを感じていました。

特に面会出来ない状況になってしまった場合には、その度合いは強くなります。

そうなれば、子供は次に《もうひとりの親も自分を捨てるかも》と恐ろしさを感じてしまう可能性があります。親からすれば、『そんな馬鹿な!』と思うかもしれませんが、子供は両親からの愛情を受けているという自覚があってこそ、安心できるのです。

親が一人、去ってしまったという現実は、子供に『自分は愛されていない』と感じさせてしまいます。

これらのストレスの他にも、各家庭での状況によっては更に複雑なものを抱えてしまう子供もいるかもしれません。我が子の様子をしっかりと見て、何に怯えているのか、何に不安を感じているのかを知る努力が必要です。

親の離婚によるストレスが、子供にどのような影響を与える?

自分たちの選択のせいで、我が子がつらい思いをすることに胸を痛めない親はいないと思います。そして、片親との別れを経験した子に、どのような影響があるのかと気になることと思います。

確かに、父母の離婚の影響は子供の価値観や人生にも及びます。

大事なのは、子の悲しみや苦しみを極力小さくするように関わる事です。

親の離婚のストレスが子供に与える影響とは?

親と離れ離れになると、子供に変化を生み、様々な反応として表れます。

今すぐに表れる反応から、大人になってからも続いてしまうものまで、色々あります。

私自身を振り返ると、これからご紹介する影響について、心当たりがありすぎます。そして、それを克服するのに、結構時間がかかりました。しかし、私の場合は母でしたが、比較的正しく私の心に寄り添ってくれたように思います。

それでも、母はこれらの事に無知でしたから、困惑は激しかったはずです。

ですから、深刻に思える事もありますが、知っているだけでも親御さんの心労は少なくなるかと思います。

では、一例を挙げてみましょう。

 

成績が下がる

特に小中学生の子は、家庭状況の変化により、精神が不安定になり、学習意欲が削がれてしまうことがあります。そこには、『自分は捨てられてしまうかも』という不安や、片親との別れについて、理由が説明されず、のけ者にされている気がすることや、相談できる人がいない状況で、孤独感を覚えて勉強どころではなくなってしまうという原因が考えられます。

精神的なトラブルが発生する

ある研究によれば、両親の離婚後1年は、ほとんどの子供が不適応状態に陥るとされています。2年目以降には落ち着いてくる事が多いのですが、悪い条件が揃うと、トラブル成人後にまで長引くとされています。

また、精神科の受診率が2倍になるデータもあるそうです。父か母との別れによる不安は、心の病を引き起こす原因になり得るのだと思います。

物や人物への愛着を失う

子供は、愛情を存分に与えられて、人やペット、物などに愛着を持つとされています。父母の離婚は、自分への愛情を疑わせる原因となり、愛着が持てないという精神状態になってしまうと考えられます。また、『どうせ自分の側から離れてしまう』という恐れから、人や物を最初から好きならないと決めてしまう子もいます。

子供自身の離婚へのハードルが下がる

父母の離婚を経験すると、自分も離婚を選択する率が、そうでない場合と比べ3倍になるといいます。最も身近な親が、問題解決するのに選択した手段である事が、理由としてあげられます。また、親は我が子に相談されたとして、止めたいと思っても説得力を持ちません。結果、離婚は連鎖してしまう傾向があるのです。

事実、私には妹がいますが、子供を抱えて家を出ました。母は止められなかったと言います。

何らかの依存傾向が強くなる

ドラッグやタバコ、アルコールといったものに依存するようになる傾向に加えて、承認欲求を満たされにくい状態で育つと、愛情への執着から性依存などの問題行動に発展してしまうこともあります。

私の場合は、現実逃避として本の世界に逃げました。読書癖は良い事のように思われがちですが、所詮は逃避あり依存ですので、本がなければ不安になるという有様でした。本当の意味での読書を楽しめるようになったのは成人して、自分の家族を持って以降の事です。

両親が知っておかねばならないことは、子供は必ず心労を感じ、何かしらの影響を受けてしまうということなのです。

親の離婚は、マイナスばかりではない?

離婚が子供に負担を与えるのは間違いありません。しかし、全てがマイナスとは言えない場合もあります。

まず、家庭が安定する可能性です。別離を決めるくらいですから、家の中が平和で温かかったなどということはないはずです。

我が家がそうでしたが、両親の不仲を毎日見せつけられるのは、本当に心の負担でした。その毎日から解放されたのは、親が別れる道を選んでくれたからです。

まして、いずれかの親の暴力や暴言が日常的であった場合には、家の雰囲気は劇的に改善します。

また、婚姻を継続している事で、経済状況が悪化していく場合。これは、いずれかの親がギャンブル依存症になっているとか、借金を繰り返してしまうなどといった場合ですが、これも、原因となる親と離れれば、状況は好転するはずです。

そして、一人親になった家庭で、子供は自分の役割を見つけることがあります。親を支えなくては、と心を強く持つのです。

その結果、自立心が育まれます。親は、その傾向を見せた子供に、感謝と愛情と信頼を伝えて欲しいと思います。親子の一体感が生まれるでしょう。

【親が一人になる】イコール【家庭内での方針が一本化】しますので、子供の事での諍いはなくなります。これが、子供の精神的な安定につながる事もあるのです。

子供は、仮面夫婦の姿を見る必要がなくなるので、親の本物の笑顔を見ることができるようにもなりますね。

離婚による、子供へのメリットがあるとすれば【解放と安定】といえるかもしれません。最初の頃は混乱し、不安定にもなるでしょうが、親の愛情を感じ、信頼されていると感じる事が出来れば、子供は、かつての家庭より、現在の家庭の方がより良いと信じられるはずです。

親の離婚で子供が感じるストレスを、軽くする為に気をつけることは?

子供にとって全てがマイナスではないとはいえ、対応を誤れば、どれほど我が子を思っていても、悪影響は避けられません。

肝に銘じておかねばならないのは、元配偶者は、あなたにとって他人でも、子供にとっては永久に親であるという事です。

そして、子供は親の愛情を疑う状況になってしまいます。それを悲しんでばかりいてはいけません。『あなたをずっと愛している』『すっと一緒だ』と心から伝え続けてください。勿論、言葉だけでなく、我が子のための時間を作る努力は絶やさない事も重要です。

親の愛の努力で、子供の心労は最小限に押さえられ、自立心を強くしていってくれる可能性が高まります。

まず、別れた親の悪口は厳禁です!離れた親への情を断ち切らせることが、我が子の為と考えているなら、その発想は今すぐ捨ててください。

子供は《自分の身体の半分は、離れた親からもらったもの》という意識を持っています。親の悪口は、子供の半分を否定していることにしかならないと知っておいてください。あなたが相手を憎んでいるとしても、子供には関係ありません。

 

特に注意をして欲しいことがあります。どれほど酷い親であったとしても、子供がその現状を知りたがった時に『死んだ』とウソをつくのはダメです。このウソは、それまで築き上げた親子の信頼を一気に崩壊させます。

知らないなら『知らない』、知っているならその状況を正確に伝える方が良いのです。

それから、愛情を示し続けることが大切です。しかも、《両親とも子どもを愛している》のと教えてください。間違っても『あの人は、私たちを捨てたのよ!』などと言いながら育てないように!憎しみの中で子育てするのは恐ろしい事です。

もし今が離婚前であるならば、伝え方に注意することで、後々の影響を軽くすることが出来るでしょう。

子供が落ち着いて聞くことが出来るタイミングで、決してウソをつかずに伝えてください。幼くても誤魔化しは不要です。その時には理解できなくても、大きくなった時に分かります。その時、『誤魔化された!』と子供が感じたら、傷を深くしてしまうだけです。

物事が分かる年齢であれば、なおのこと、本当の事を伝えて、子供の言葉を全て聞いてください。『離婚なんてしないで』という言葉に、ご両親は苦しむかもしれませんが、これからもっと苦しい思いをする子の言葉です。ガマンさせずに、全て吐き出させる方がいいと思われます。

子供にとって、親の離婚は自分でコントロールできる事ではないのに、その後の人生をなかば決定づけてしまう出来事です。別れを決意したご両親は、まず子供への悪影響を考え、最小限にする手段を講じる必要があります。

まとめ

親の離婚が、子供に与えるストレスと影響について見てきました。

ご両親にとっては、つらいことが多かったはずですね。我が子の為にガマンして来たのだと思います。ですが、どうか【あなたがいるから、これまで別れなかったんだ】と子供本人に伝えたりはしないでください。

その言葉に、子供は感謝しません。『だったら、最後まで別れなきゃ良かったじゃないか』と思うだけです。

離婚するのも、しないのも、子供のせいにしてはいけません。

別れを決めるのも、回避するのも、ご両親の責任で行ってください。そして、大人が自分たちで選んだ事が、我が子にとっても最大限幸福になる為の選択なのだと信じてください。

大の大人が、離婚で慌てふためいたり、気落ちしたりしている場合ではありません。

特に親権を持った親御さんは、しっかり足を地に付けて、子供に『これから、この家族でやっていくよ!』と明るく宣言しましょう。

大変な事も多いはずです。ですが、幸せになる為の決断であるはず。ですから、親子で必ず幸せにならなければいけません。

子供は、愛され、信頼され、頼りにされれば、何でも話せる同志となってくれます。

親の離婚の経験を、マイナスにするのも、プラスに変えるのも、親の関わり次第です。

新しい生活が、親御さんとお子さんにとって、楽しいものになりますように!