知能の遺伝は母親からしか受け継がれない?!父親からの影響は?

最近、子供の知能の遺伝は母親からのもので父親からは遺伝しないことがわかってきたそうです。なるべく父親に似てほしいと思っていた私はとてもショックでしたし、両肩に責任という言葉がずしっとのしかかるような気持ちになりました。同じように感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今では世界中で転載されていますが、もともとはアメリカの「サイコロジースポット」に掲載されたジェニファー・デルガド氏の記事だそうです。

知能が遺伝するということはこどもの努力は無駄なのでしょうか。もし成績が思うような結果を残せなかったとき、母親の遺伝だから努力しても仕方ないとこどもが諦めてしまったり、そのことで母親がこどもに対して申し訳ない気持ちをもちながら接していくのかと思うととても憂鬱になりますよね。

心配でたまらなくなりいろいろ調べてみましたが、結論からいうと遺伝だからと諦めるのはまだ早そうでした。あらためて「がんばろう」と決心できたので皆さんにもご紹介したいと思います。

知能の遺伝は父親50%母親50%ではない?

遺伝については昔から世界中で研究がなされているため信頼できるデータというのが多数あります。それによるとIQ(知能指数)は、およそ50%が遺伝の影響を受けているといわれており、残りは家庭環境や学校、友人など一人一人の独自の環境によるものだそうです。その50%のうちの25%が父親で25%が母親なんじゃないの?と思いましたが、そう簡単ではないようです。

まず前提としてですが、女性の性染色体はXX、男性の性染色体はXYと言われています。こどもは両親の性染色体を一つずつもらうことで性別が決まります。両親からX染色体を引き継いだ子は女の子として、母親からX染色体・父親からY染色体を引き継いだ子が男の子として誕生します。

知能をつかさどる遺伝子の相当数はX染色体の中にあります。女の子は両方の親からX染色体を受け継ぎますが、男の子は母親からしか受け継がれません。これが知能の遺伝は母親からと言われている理由です。

遺伝子情報は染色体というものにあり、染色体は基本的に同じ形のものが2本ずつ、計23組あります。そのうち22組目までの遺伝子情報は男の子でも女の子でも同じです。男女に分かれるのは23組目の性染色体です。

X染色体はYに比べて大きく、体の機能や構造、顔つきや性格などのたくさんな遺伝子情報が載っていますが、Y染色体には生殖器をつくる遺伝子情報しかありません。

遺伝で知能が決まればできることはないの?

上記の内容でほっとしている方もいれば落ち込んでしまった方もいるでしょう。しかし子供の学力はそれだけで決まるとは思えません。私の息子二人の知能は同じ母親からと受け継いだと思えないくらい違ってみえるからです。

確かに遺伝もあるんでしょうが、それを上回る個人差があるのではないでしょうか。遺伝だけで結果は出ません。「もう何しても遺伝なんだからしょうがない」と投げやりになるのは早いです。

幼いころからの絵本の読み聞かせや自然と触れ合うこと、親子のスキンシップは脳科学の観点からもとてもいい影響がでることがわかっていますし、個々の性格によって集中できる環境の整えることも大切です。受け継がれた知能を活かしたりそれ以上の力へと変えるのは毎日の子供との接する時間です。

知能には環境が大きく影響します。母親と一緒にいて安心できるような関係を築いているこどもは複雑な課題に当たってもストレスを感じにくいそうです。「自分のことを見守ってくれている」という安心感があるからこそ、いろいろなことにチャレンジすることができるんですね。

親が一流大学出身や、有名アスリートだといういわゆる二世のこどもは遺伝ももちろんありますが、早くから適した環境の中で育ったという結果が大きいのではないでしょうか。一般家庭て勉強やスポーツの才能がある子が生まれても普通の親は最適な環境を作るのは容易ではなく手探り状態です。

一方で自分の経験として知っている親は無駄なく環境を整えることができますし的確なアドバイスもできます。そう考えると遺伝よりよっぽど環境のほうが大切に感じます。

学習環境はどう作ればいい?

同じ先生から同じような授業を受けてもテストの成績が違うのは遺伝的なものも考えられますが、単純に学校の勉強法があってるあってないで判断することができます。学校での成績がいいということは今の授業スタイルがあっているのでしょう。

私の息子は就学前検診で知能・理解力で問題はありませんでしたが周りの影響を受けやすい性格を指摘され「性格的に集団での授業よりも少人数授業のほうが息子の成績向上が望める」と言われました。このように学校でも家庭でも個々に応じて学習環境を整えることが大切になってきます。

遺伝的才能はあるけれど、環境がダメだった人

遺伝的才能は普通だけど環境がよかった人

この二通りならば圧倒的に後者が伸びます。それだけ学習環境は大切です。もちろん遺伝的才能があって更に環境が整っていれば文句なしですが、普通でも頑張ればなんとかなるという事実は大きな励みになりました。

しかし環境を整えるとはどのようにしたらいいのでしょうか。それには今すぐに実践できることとちょっと・・と気おくれしてしまうものもありましたが、ご紹介したいと思います。

・親の経済力

私はそれを聞いてなぜ関係あるのかわかりませんでしたか親の経済力は子供の学業成績、学歴、収入、専門性の高い職業に就くなど影響があると知り納得しました。お金がないと塾も行けないし専門学校などにも進学は難しいのでそうなのでしょう。でもこれはなかなか解決できる問題でもありませんよね。

 

・テレビが常につけっぱなし

学習環境と直結して考えにくいかもしれませんが、家庭の混乱状態は子供の学力に影響を与えることがわかっています。まずはここから見直すがいいのではないでしょうか。ある程度大きくなっている子ならなるべく早く親子で相談し、協力しながら家の中の整理整頓、規則正しい生活を送ることをおすすめします。

・机の配置に気を付ける

右利きの人なら左側に窓をがあるように机を配置すると手元が暗くなりません。正面が壁だと気が散らないというメリットもありますが、気分転換がしにくいというデメリットもあるので、子供が小さいうちはこちらの配慮も重要になります。

・部屋の色使い

机に向かった時に視界に入ってくる情報をなるべく少なくしてください。部屋の中で大きく占めるものの色を床や壁、天井の色に合わせると刺激を少なくすることができます。少し物足りなく感じたときは小物で色を取り入れてみてくださいね。小物だと集中したいときだけ動かすだけです。

特に青は鎮静作用もあるためおすすめです。安定した精神状態を保って集中できるのではないでしょうか。

・誘惑グッズは収納する

子供を見ていると誘惑されるものはだいたい同じなのではないでしょうか。息子のクラスでは筆箱を使って手遊びをする子が多いので授業中筆箱を机に置くのは禁止されているようです。勉強の必需品でも気が散るのに好きな物がたくさんある家で集中できるはずがないですよね。

ゲーム、おもちゃ、本などあげればキリがありませんが、勉強するときは視界から遠ざけることです。集中と休息のメリハリを意識しましょう。どうしても視界の入るところから動かせないのなら布で隠すこともおすすめです。

おわりに

知能というのは複合的なものです。確かに遺伝はありますし父親よりも母親の遺伝が重要になってくるのもわかりました。しかし知能とは遺伝として受け継がれた知能という土台に親と子が共に得たものををどんどん重ねていくものではないでしょうか。

長い人生として考えた場合学力だけが重要になるとはいえません。コミュニケーション能力やいろんなものにチャレンジする好奇心などが必要になる時もあります。そしてそれらは知能の遺伝だけでは補えるものではありません。環境もまた大切なのです。

好きなことを極めるために沢山の勉強が必要になってくることもあります。遺伝だから、もう勉強したってしかたがないと諦めてしまい、その先にある可能性をつぶしてしまうのはもったいないですよね。大きくなって取捨選択できるようにこどものうちは遺伝云々関係なくたくさんのことに触れさせてあげてください。

私のように父親の頭の良さを期待していた方は肩を落とす結果でしたでしょうが、環境がとても大切な要素だとわかりました。

親子でたくさんコミュニケーションをとりながらいろいろなものに挑戦していってくださいね。