虐待される子供、その要因、特徴とはなにか?

虐待という言葉を聞く度に辛く悲しい気持ちになるのは私だけではないでしょう。子供への虐待はなぜ起こってしまうのか考えたことはありますか?

虐待とは一つの要因で起こるものではありません。経済的、精神的、社会的など様々な要因が複雑に絡み合って生じるのが虐待です。

たとえば不景気により収入が低下してしまい経済的な不安を抱える。子育てが上手くいかなく自分を追い詰めてしまい精神的にストレスを貯める。子育てに関して周りに相談出来る人がおらず孤立してしまう。

このように複数の要因が重なりあったときに、家族の関係が不安定になり子供への虐待が引き起こされてしまいます。

虐待には様々な要因がありますが、残念なことに子供自身が虐待の要因となってしまう場合があります。

一体どんな子供に虐待要因があるのか、虐待されやすい子供はどんな特徴を持つのでしょうか。

虐待における子供の要因

ハイリスク児、障害児であることが虐待リスクを高めてしまう虐待要因として挙げられます。ここから1つずつ見ていきましょう。

ハイリスク児

ハイリスク児という言葉を聞いたことはありますでしょうか。メディアでも多く取り上げられている言葉ではないので知らない方もいると思います。

ハイリスク児とは成長する過程において何らかの問題が生じる可能性があり、経過観察や必要に応じた発育支援が発生する子供のことを言います。具体的には低出生体重児や新生児仮死等の問題を抱えた子供のことを言います。

ハイリスク児であることは、学習障害や行動障害の頻度が高くなる傾向にあります。子供への虐待ではこの「ハイリスク児」であることが虐待要因の一つになっています。

障害児

何らかの身体障害、もしくは精神障害を持つ子供が虐待の要因となってしまいます。

「全国児童相談所における家庭支援への取り組み状況調査報告書」の調査結果(2009年)では、身体障害を持つ子供では虐待を受けるリスクは4.3倍。知的障害児では13.3倍という結果が出ています。

なぜハイリスク児、障害児では虐待リスクが高くなるのか

ハイリスク児、障害児に共通していることは「育児の難しさ」です。どちらの場合でもハイリスク児や障害児でない場合と比べて、育児中のケアやしつけが通常よりも多くなり、また子供への定着もしにくくなります。そのため育児における親の負担がどうしても大きくなってしまいます。

どちらの場合もまずは親がハイリスク児であること、障害児であることを受け入れることから始めなければなりません。育児が困難であることに加えて、子供を心から受け入れることが出来なければ日常生活での関係性の行き違いで虐待に至ってしまいます。

またそれに加えてハイリスク児、障害児である場合、子供自信が社会的経験ができる場所が狭くなりがちなので、親から認められることが一番の欲求になってきます。

それだけ健常者の子供よりも、親と子供の関係性が密接になってしまうので親への支援がないと、虐待のリスクというものは大きくなると考えられます。

発達障害の子供を持つ親、その苦労

障害児の子育ては想像を超える苦労があります。シングルマザーのA子さんには発達障害の息子さんがいます。息子さんはかんしゃくを起こしてパニックになると、道端で頭を激しく打ち付けたりしてしまう事があるそうです。

そんな我が子にA子さんはどうやって接して良いのかわからずに、途方に暮れてしまい一緒に死ぬことも考えたそうです。

A子さんはところ構わずかんしゃくを起こす我が子を恥ずかしく思い、次第に家に引きこもりがちになってしまいました。

A子さんは息子さんのことを誰にも相談出来なかったのです。

育児の悩みを誰かに相談することが大切

ハイリスク児、障害児を持つ親には必ず悩みがあるはずです。それを誰かに話すこと、相談することが大切です。今では全国各地にたくさんの支援団体があります。

障害のある子供に対して、学習支援や日中活動の場所を提供するだけでなく、親に対して手厚い支援を行っている団体もあります。その支援の1つがグループカウンセリング。

参加者の親はみんな同じような悩みを抱えており、障害のある子供を持つことで誰にも言えなかった悩みを打ち明けることが出来ます。誰かが話を聞いてくれる。そして受け止めてくれというのはすごく大きな事です。

誰かに話が出来ないと更に自分だけで悩み思いつめてしまい、子供への虐待が更にエスカレートしてしまうでしょう。支援団体において押し込めていた感情を出すことができれば子供だけでなく、親自身も救うことが出来ます。

ハイリスク児フォローアップ研究会

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一般社団法人 日本発達障害ネットワーク

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終わりに

虐待から子供を救うには親を救わなければなりません。支援団体に参加した親は初めの頃は「自分はこんなことをしてしまっている」という思いから自分を責めています。

支援団体ではどんな話をしても責められることはないですし、誰にも言えなかった話をしていいのです。

そういった安心感のある雰囲気の中で、親たちがもう一度子育てに対して向き合うことで、子供との関わりも少しずつ良くなっていくはずです。

一人で悩みを抱え込んでしまうのではなく、誰かに頼ることが虐待解決への一歩です。