子供は、粘土遊びや水遊び、砂・泥遊びが大好きですよね。触ったり、握ったり、丸めたり、ちぎったりといった動きを、一心不乱にやっている場面は、よく見る光景ではないでしょうか。
身体の感覚から得られるものは、子供の発達に欠かすことは出来ません。その点今回紹介する、粘土遊びや砂・泥遊び、水遊びといった【感触遊び】は、最高の遊びといえます。
しかし、その効果を知らないままだと、我が子が感触遊びから得ているものも分かりません。それはとても勿体ないことです!
保育士や幼稚園教諭といった保育のプロも、感触遊びの『ねらい』を定め、指導に取り入れています。
そんな感触遊びの事を知って、より効果的に、より楽しむ方法を考えていきましょう!
今回は、主に1歳ごろから4歳くらいまでの子が遊ぶのに向いているものをご紹介していきます。
感触遊びって一体何?効果やねらいにはどんなものがある?
そもそも、感触遊びとはどういうものを指すのでしょうか?
感触遊びは【感覚遊び】のひとつです。
【感覚遊び】とは、一番初歩的な遊びで、視覚・触覚・聴覚・臭覚・味覚といった、五感を使った遊びの事。
ここで、遊びなのに《味覚?》と不思議に感じるかもしれませんが、離乳食ごろの子には、ちょっとだけ手づかみで食べる経験もさせてあげて欲しいと思います。触覚と味覚を鍛えるからです。ただ、遊び食べにつながってはいけないので、ほどほどに。
そして、【感触遊び】とは、文字通り【感触を楽しむ】ものです。色々な感触の物に触れて、形を変えて、ちぎって……。遊びの中で観察しながら、それがどの様な物なのかを学んでいるのです。
時々、粘土や砂を口に運んでしまうアクシデントも起きますが、大抵の場合「ペッ」と吐き出しますよね。その瞬間、頭の中に『これは食べられない物だ』とインプットしています。
また、感触だけでなく、色を見たり、握ったり叩いたりする時の音を聞き、水や泥、粘土などの匂いを感じたりと、遊びの間中、感覚は刺激を受けまくっているのです。
これらの刺激によって、子供の脳はどんどんと発達していきます。
感触遊びには、様々な種類の物があり、それぞれの感覚がもたらす効果があります。それらを知ると、きっと、感触遊びをたくさんさせてあげたくなるでしょう!
感触遊びの種類は?それぞれにある、効果とねらい
感触を楽しむ遊びで、まず思い浮かぶのは【粘土】でしょうか。私たち大人でも、やったことがないという人は、ほとんどいないと思います。保育園、幼稚園では必ずと言っていいほど、やりますよね。
他には何があるでしょうか。
基本的に、子供の遊びで感触を味わわない方が種類は少ないと思うのですが、きっと「ああ!これも感触遊びなのか~」と感じると思います。
それらには、それぞれの『ねらい』と『効果』が存在するのです。
「知らなくても、楽しく遊べばOK!」と言えなくはないのですが、知らないばかりに、遊びの準備や片づけを面倒に思って、感触遊びから遠ざかると、せっかくの発達の機会を逃してしまうことになりかねません。
難しいことは何もないので、色々な感触遊びを楽しめるように、大人の側が《感触遊びのバリエーション》を色々知っておきましょう!
粘土遊び(土粘土・小麦粉粘土・片栗粉粘土など)のねらいと効果とは?
私は、粘土といえば《油粘土》と《紙粘土》くらいしか知らなかったのですが、我が子が幼稚園に入った時《小麦粉粘土》なる物の存在を知って驚愕した覚えがあります。
正直最初は「食べ物を粘土遊びに!?」と抵抗を覚えたのですが、知れば知るほど、素敵な粘土!と思い直したものでした。
小麦粉粘土のいいところは、粉の状態から水を混ぜて、色を付けて……と状態の変化を見られることでしょう。保育園などで設定される『ねらい』としては『小麦粉粘土の柔らかな感触を楽しむ』といったものが挙げられています。
小麦粉粘土は、こねて色付けまでは大人がやりましょう。子供が小麦粉の粉を吸うことは良くありませんし、色の加減も子供では上手に出来ないからです。
3色ほどの粘土を作り、そこから自由に作らせて、想像力を発揮させましょう。「何を作っているのかな?」「〇〇みたいだね!」と声かけを忘れずに!
小麦粉粘土での遊びは、砂場での遊びや、ままごとにつながっていくステップにもなります。
ただし、アレルギーには充分に気を付けなくてはいけません。
また、片栗粉粘土も子供たちは好きです。片栗粉は、不思議な感触ですよね。キュッキュッとした感覚、ドロッとした感触、ネチネチとした感触、色々と楽しめます。
オーソドックスな油粘土も、丸めたりちぎったりと、様々な形を作る事で、想像力や手指の感覚を鍛えるので、たくさんさせて欲しい遊びです。
粘土遊びの特徴といえば、とにかく手を使うという事ですよね。『手は第二の脳』と言われるほど、繊細で敏感で、大事な器官です。脳の発達を促す為にも、粘土遊びを取り入れ欲しいと思います。
水遊びの幅広さと効果を知ろう!
水遊びといったら、ビニールプールを用意して、中でパシャパシャ、というのを想像しませんか?勿論、それも立派な水遊び。
ですが、感触遊びとしての水遊びは、もっと奥が深く、種類もあるのです。
用意するのは、ビニール袋と水。水は、少し温かったり、冷たかったりと温度の種類があるといいですね。
透明ビニール袋を使うなら、色水を作ってみても楽しいでしょう。
途中で破けると床が大変なことになってしまうので、敷物をするとか、ビニールプールを膨らませて中でやるといった工夫があるといいかもしれません。
袋の入った水を触る、不思議な感触に子供は興味津々だと思います。
最初は恐る恐るかもしれませんが、危険がないと分かったら、めいっぱいに遊び始めるでしょう。水の感覚を知ることが、この遊びのねらいといえるでしょう。
我が家では、ゴム手袋に水を入れた物で遊ばせたりしていました。グニグニとした感触に最初は気持ち悪そうにしていた子供も、あっという間に楽しむようになりました。
水は変幻自在なので、ビニール袋に入った状態の不思議な感触に、子供の関心は釘付けになりますよ!
泥遊び・砂遊びは、『汚れを気にせず思い切り』で効果アップ!
泥遊びや砂遊びは、親を悩ます《汚れ》と無縁でいられません。ですが、この遊びは、脳と身体の発達を促す遊びの代表格です。
砂・泥遊びは、とにかく手を使うので、脳の発達を促す効果が期待できるのですが、その上、砂場という足場の悪い所で、物を持って移動するということが多いので、脚力や体幹が鍛えられる効果もあります。
砂場グッズも豊富にありますので、最初は、スコップ、バケツ、ジョウロ、型抜きといった基本のセットを用意して、慣れてきたら徐々に種類を増やしていくと楽しさも倍増するでしょう。
服の汚れが気になるという時には、『砂場服』と呼ばれる、服の上から身体をすっぽり包むような形の服もあります。軽くて持ち歩くことが出来るので、1着用意しておくと便利ですよ。
砂遊びや泥遊びでのポイントは、子供を自由に遊ばせること。極力禁止の言葉は封印して、めいっぱい遊ばせてください。
そのことで、子供の感覚はより発達します。
砂や泥の感触は、場所によって水分の状態、粒子の大きさなど様々です。砂場には、小さな貝が混ざっていることもあり、それをつまむという動き、小さな貝の固さなどを知ることで、子供は楽しみながら感覚を育て、観察力を育てます。
スライムは感触遊びの王さま!?楽しく遊んで効果を実感!
スライムを作ったことがありますか?あの、ドロッとした不思議な物体です。
私の子どもは、これが大好きでした。幼稚園児の頃は私が作っていましたが、小学生中学年になったら自分で作って遊んでいました。
面白さを知ったら、ずっと遊べるスライム。
形が変わる・伸びる・冷たい感触・手にくっ付く、他ではなかなか感じられない感触に、子供は不思議を覚えます。
伸ばすと、向こうが透けて見えることに気づくでしょうか?色々な気づきを得ることが出来るのが、感触遊びの良いところです。
これらの全てが、スライム遊びのねらいであり、効果です。
スライムは作るところから見せると楽しいですよ。一般的なスライムは毒性のある「ホウ砂」を使うのですが、これを利用しないスライムの作り方もあります。
『ホウ砂なし ふわふわスライムの作り方』
スライムの作り方で調べると、たくさん出て来ます。片栗粉で作るスライムというものもありますよ。ぜひご家庭でもやってみてください。
スライムは、プリンカップやスプーンなどを使ってごっこ遊びにも活躍します。色によってはゼリーのようで美味しそうに見えるのですが、口に入れないように見ていてくださいね。
まだまだある、効果抜群の感触遊び!
ここまでにご紹介した遊びの他にも、まだまだたくさんの感触遊びがあります。
いずれも、感覚を鍛えるのに効果がある遊びです。
全身を使った【ボディーペインティング】は、絵の具の感触を味わい、色の変化を感じ、そして終わりには、身体を洗うお湯の感触や石鹸の泡の感じなど、最初から最後まで全身の感覚を刺激する遊びです。
圧縮袋に、ボールや水や洗剤を入れて、触ったり上に乗ってみたりする遊びもあります。上から押さえたボールが、スルッと逃げてしまう経験は、子供の興味を引くでしょう。
準備が必要だったり、片づけに手を取る遊びではありますが、とても楽しいはずです。
そして、水遊びに加えて欲しい【氷遊び】。冬に氷が張る地域では、水たまりの氷を踏む経験ができますね。しかし、夏場でも氷遊びはお勧めです。1~4歳くらいの子に、水が氷になる過程を見せるのは大変ですが、氷が水になるのを見せるのは簡単です。
固い氷が溶けて水になっていく様子。とても冷たい感覚。変化や温度を楽しませてあげてください。
子供にとっては、触れるもの全てが、刺激になり学習になります。ティッシュの感触も、服の感触も、危険でない限り色々な物に触れさせて、どんどん刺激を与えてあげましょう!
感触遊びが苦手な子にも、ねらいを達成して効果を感じて欲しい!
多くの子にとって、楽しい感触遊びですが、中には感触遊びが苦手な子もいます。
様々な教育的な効果も期待できるとなれば、積極的に遊びに取り入れたいところですが、無理強いをするのは逆効果です。
ひとつずつステップを踏みながら、徐々に感触遊びに誘うことで、苦手意識を持っていた子も、興味を持てるようになるでしょう。
ステップ1は、【親も一緒に遊ぶ】です。感触遊びをしている時には、誤飲などの事故防止の為に目を離してはいけませんが、子供だけで遊んでいるのを見るのではなく、一緒に参加して、不思議な感触を味わってみてください。パパやママにとっては、懐かしい感覚かもしれませんね。
ステップ2は、【感触遊びをしているお友だちの姿を見せる】。保育園・幼稚園に通っている子であれば、保育中にお友だちの遊びを見ているでしょう。また園であれば、保育士や幼稚園教諭が上手に促してくれます。
未就園児の場合は、児童館で感触遊びを企画している事があります。地域の児童館の情報を調べて、行ってみるのも良いですね。
ステップ3は、【粘土やスライムなどを触らなくてもいいおもちゃを与えてみる】です。スプーンやコップといった物がいいでしょう。最初の内は、おもちゃばかり触って過ごすかもしれませんが、近くに粘土やスライム、砂などがあれば自然とそちらに手が伸びることも考えられます。
ステップ4は、【感触遊びの何がイヤなのか探る】です。冷たかったり、ほんのり温かかったり、グニグニしていたり、ドロドロだったり、カチカチだったりと様々な温度や形状の物に触れる遊びですから、目の前の感触遊びが、その子の好みに合わないということも考えられます。
一度にでなくていいので、感触が違うものを色々試してみて、興味を示したものから遊んでいくと良いでしょう。
まとめ
感触遊びのねらいや効果、いくつかの種類をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
砂場で泥遊びのように、簡単に出来るものから、スライムや小麦粉粘土のように少し準備がいるものまで、感触遊びはたくさんあって、それぞれに違う感触が楽しめます。
柔らかい物を力いっぱいに持てば、指の間からこぼれ出てしまうと経験すれば、その子は力加減を学びます。
小麦粉粘土やスライムを、作っているところから見た子は、状態が変化していく物への興味を持つでしょう。
そして、見た目と感触が頭の中で結びついていきます。大人は石を見て、柔らかそうだとは思いませんよね。それは、触ったことがあって『固いと知っているから』なのです。
個体と液体の違いを感じることで、見ただけで触る時の加減や注意の仕方を覚えていきます。
子供は、この世界にあるものを知り始めたばかり。
『柔らかいものを、見ただけで《これは柔らかいものだ》と分かること』は、実は素晴らしいことなのです。その能力も、感触遊びを繰り返しすことで獲得する能力です。
様々な感触遊びを体験しながら、子供は生きていく為の基礎である感覚を鋭くする訓練をしています。
ただ、食品を使った遊びをする時には、くれぐれもアレルギーには注意をしてください。
そして、誤って食べてしまったりしないように、しっかり見ているようにしましょう。
感触遊びには、服や靴を汚してしまうものも多くあります。汚れても惜しくない服を着せるなどの工夫で、子供が伸び伸び遊べるようにしてあげて欲しいと思います。
子供の世界が広がる感触遊びを、ぜひ毎日の遊びの中に入れてみてください!