2歳頃になると自我が芽生え出し、抱っこばかりの頃とは違った成長が見られるようになっているのではないでしょうか。幼い子が集まって一緒に遊ぶ姿はとても微笑ましいものがあります。しかしそれと同時におもちゃや食べ物をポンポン投げるようになるなど困り事も同じくらい増えてきたかと思います。
私もかつてなんでも投げる長男に悩んでいました。しつけ初心者の私はどこまで言っていいのか、見守るべきなのか、でも何も言わないのは親失格と思われるんじゃないかなどいろいろ葛藤したものです。
ですがちょっとした声掛けや対応で投げるという行為を止めることができるのです。魔の2歳児という言葉に絶望を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、前提として物を投げるという行為は成長の証ですのでまずは大いに喜んでくださいね。
ただ手放しで喜んでいいわけではありません。イヤイヤ期だからしょうがないと嵐が過ぎ去るのを待っていても善悪を知らない子供は急に悪いことだからと自分で気付きやめられるはずがありません。親が線引きをし善悪を教え込んでいかないとあの時はよくてなぜ今はダメなのかと、子供の混乱を招くだけです。
自分としっかり向き合ってくれる人がいると感じると安心感が生まれ、子供の物を投げる回数も自然と減っていくのです。そうなって楽になるのは大人だけではありません。子供自身も憤りを感じることが減るので結果的に気持ちが楽になります。
物を投げる際のしつけはスピードが勝負になってくるので、咄嗟に対応できるようにパターンといくつかの対処法をご紹介したいと思います。
なぜ、2歳児は物を投げるの?
私の息子のことを例にご紹介します。息子は出かける前になると玄関で大泣きしながらどちらも履きたくないと自分の靴二足を投げるのが日課でした。私も初めての子ということもあり、2歳=イヤイヤ期=こういうものという考えが出来上がっていてとにかくいろんな事が気に入らない時期に入ってしまったんだと悩んでいたのを覚えています。
「だったらどっちも履けば!」と我慢できず怒ってしまった時息子は大泣きしながらうんうんと頷き、その後ご機嫌な様子で片方ずつ履き始めました。どうやらずっとそう訴えていたようでどちらも履きたくないと思っていた私に怒っていたようなのです。
満面の笑みを浮かべて写真も撮ったら満足したのでしょう。その後は一度もそんな履き方をしたことはありませんし、したいともいいません。そして玄関で泣きながら靴を投げることもなくなりました。
息子はどちらも履きたかったのにそれが伝わらないもどかしさが靴を投げるという行為に繋がり、私がわ理解した後は心が満足したため物を投げる衝動が消えたようでした。
このままわからないままだともっともっと親子共に余裕がなくなりどうなっていたでしょうか。イヤイヤ期だからって泣いたり物を投げるのには理由があるのだなと気付かせてもらった出来事でした。それを理解し寄り添うことが2歳児のしつけには重要なことなのです。
物を投げるのにはイヤイヤ期と体の発達の2種類があります。
イヤイヤ期は自分の気持ちが伝わらなくてもどかしいという怒りが表現されているので大抵泣きながら怒っています。
もう一つは体の発達です。投げるという行為は物を掴み、腕や腰など体を動かしながら様々な要素をコントロールして投げます。自分の意思と体の使い方、物が遠くへ落ちる様子や音その全てが楽しくて仕方がないのです。
純粋に投げることを楽しんでいるようでしたら「楽しいね。でも投げるのはボールだよ」と声かけしてくださいね。
この二つは表情が全然違っています。でも状況によっては止めないといけないことにかわりありませんのでその際の声かけに注意してください。
物を投げるのを止めるのに気を付けることは?
叱る事と褒める事にメリハリをつけるとだんだんしていい場面と悪い場面があるのだと気づきます。
グダグダと長く説明してもまだ2歳なのでいくら理解力が増えたとはいえしっかり理解をすることはできません。子供の脳は発達途中なので全てを記憶として留めるのは不可能なのです。だいたい最後の言葉が少し記憶に残るくらいだといわれています。
どういう状況で子供が物を投げるのかを把握できていれば事前に気をそらせたり気持ちに共感してあげられることがあるかもしれません。優しく落ち着いて話しかけるのを心がけてみてください。
・その場で
・短く
・わかりやすく
・いいこととセット
こうした事に気を付けながら伝えると子供も混乱することが少ないかと思います。良い場面・悪い場面の区別がつきやすくなります。
どんな対応をするか声をかけるかで親子の今後の関係も反抗期の影響まで全然違ってくるようです。ダメなものはダメですが、あまりダメだと言いすぎると子供はどれがダメなのかよくわからなくなってしまいます。私たちがどこまで許せてどこからが「ダメ」なのかしっかりと事前に決めておくと子供の興奮につられることなく穏やかに話せるのではないでしょうか。
「ダメ」と言われると自分の思いを否定されていると感じてしまうものです。その不満が蓄積されると反抗期が訪れた時にとても酷くなると言われています。少しでも「ダメ」を納得してもらえるように叱る時も「怒ってるんだよね、悲しかったよね、でも危ないから投げるのは止めるね」など共感することを大事にしてください。
物を投げるのをやめてくれない時は?
最初の声かけで出来なかった場合次の作戦に出る必要があります。怒っているだけでは子供も一緒にヒートアップしてしまい手がつけられなくなるのでそんな時こそ冷静に対応してください。
やりたいことを抑えるという部分が発達していないため「ダメだよ」と伝えても「やだよ、今そうしたい気分なんだもん」とこちらの声を受け入れてもらえません。そんな時いくつか対処法をもっているとこちら側も延々とお願い、説得、怒り続けるなどのパワーが必要なものを避けることができます。
・投げる前に止め続ける
しっかり手を抑えたり体を抱きしめるなどして「ダメ!」となんどでも伝えてください。
子供は大人よりも「慣れる」のが早いです。それは癖になるのが早いともいえます。気に入らないことがあると物を投げるという行為が癖にならないようなるべく止めるようにしてください。
・状況を変える
おもちゃを投げる時は部屋から出る。食事を投げる時は食事を下げるなどがあります。ただいきなりではなく「おもちゃ投げると危ないからお部屋から出るよ」「食べないなら片付けるよ」などと声をかけてからそれでも反応のない時に実行してください。
大騒ぎをするかと思いますが状況の変化に抵抗はできません。ただ罰ではないので落ち着いたら元に戻すといいのではないでしょうか。
・他のことで誘う
目の前のこだわりよりも楽しいことを提案出来たらいいんです。どうしても困った時だけですがモノやお菓子でつるのもありだと思います。2歳くらいだと味をしめて次も…という考えにはなりにくいと言われています。
その時を乗り切るためにとっておきを準備していると楽ですよ。
・期待せず、でもしっかりと言い聞かせる
言っても投げるのをやめないのは言い方の問題と思われるかもしれませんが、この時期の子は自分の欲求を抑える脳が物理的に育っていないためダメだと理解していても衝動を抑えきれないのです。なのであまり効果がなくて当たり前です。
ただそれでも少しずつは成長しているので未来の子供のために「ダメな物はダメ」だと言い続けていきましょう。いつか、だんだんと行動に表れてくるはずです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
いろいろお話ししましたが、結局は子供の味方でいることが一番大事なのかなと思いました。泣いている我が子や我慢をしている我が子を見ると「今日はもういいかな」といつもダメだと言っていることを今日だけいいよと許してしまいたくなりますよね。
しかしダメの境界線がコロコロ変わるのは子供にとっていいことではありません。先のことまで考えた時に子供の味方でいるということは、時にはどれだけ泣いていても決して折れてはならないということではないでしょうか。しかし我慢させすぎも辛いですよね、こういう時に特別な時間です。
私は内緒ねといいながら二人でゼリーを食べていました。なんで子供は内緒っていうとあんなに喜ぶんでしょうね。専ら気分転換はゼリーでした。
子供に対応する我々も体力勝負です。そしてゆとりがない時はどれだけ頑張っても優しくなれません。将来楽にバシンと止められるようになるための今は準備期間です。
準備は大変ですが、今後の親子関係のためにも自分にもご褒美を用意するなどしながら是非とも乗り切っていただけたらと思います。