「勉強出来るだけが良い事じゃない」
そう思っていても、やはり我が子には勉強が出来る子でいて欲しいものですよね。
なのに、どうやらウチの子は勉強が苦手のよう……?
もちろん、勉強の出来不出来で人間性は量れませんが、それでも【勉強ができない子】にはそれなりの特徴があるようです。
何らかの特性があって、支援が必要である等の場合は別問題ですが、特に理由が見当たらないのに、勉強が出来ないと感じる場合には要注意!
本人のやる気や、家庭環境が原因であるならば、これからでも充分【勉強が得意な子】へ進化を遂げられるかもしれません。
勉強が出来ないといわれる子の特徴や、出来る子へと促していく方法を見ていきましょう!
勉強ができない子に特徴があるって本当?
勉強が出来ない子とは、どのような子供を指すのでしょうか?
どの子にも、大なり小なり得意な科目と苦手な科目があると思いますが、ここでは、【学習障害などの事情がないにも関わらず、どの科目も平均にたどりつけない子】を指すとしましょう。
残念なことに、このような子供はいます。
例えば、九九を覚えないまま小学校を卒業してしまう子が存在するのです。彼らは3年生以上の算数の時間をどのように過ごしていたのでしょうか?中学校に上がってから、どうなってしまうでしょうか?
本人の特徴、家庭の特徴を見ていくことで、勉強が出来ない状態になってしまう原因を探り、学びに向かう心を作っていく手掛かりを見つけましょう!
子供本人に見られる特徴
勉強が出来ない子には、いくつかの特徴があります。
『そもそも、勉強自体が嫌いな子』とか『勉強はやっているのに出来ない子』など、パターンがあるようですが、これから挙げる特徴に当てはまっているかもしれません。
私は、小学校でのボランティアで、小学4年生向けの放課後教室の指導員をやっていました。科目は算数です。担当したのは、学年の学習に追いついていない子達のクラス。
九九を最後まで言えるのは、15人のクラスで6人でした。最後まで言える子も、九九の使い方が分からず、計算に使えないという子供たちです。その経験で、勉強ができない子には特徴があると感じました。
まず、知識を得ることに意欲的になれない子は、物事に対する興味や関心が薄い傾向にあります。『なぜ?』と思う事が少ないということです。
また、分からないと思っても、そのまま放置してしまいがち。
分からない事を気持ち悪い、落ち着かないとは感じていません。
考える習慣がなく、頭を使わない生活ですから、能力の伸びようがないのです。
また、『勉強しなさい』と言われた時『今しようとしてたのに!やる気がなくなった!』と、勉強から逃げようとします。
他にも、学校や習い事で疲れた事や時間がない事を言い訳にすることも。
嫌なことを先送りにする癖が付いている子は、学習を促しても、『後でやる』と言いがちです。この場合、宿題だけでなく、やらなくてはならない事全般を後回しにする傾向があります。
『勉強しているのに、成績が悪い』場合には、【勉強時間が長すぎる】のが原因かも知れません。我が子が机に向かっていれば、安心してしまう親御さんは注意しましょう。
子供の集中力は長く持ちません。長時間勉強しても、集中していなければ身につかないのです。また、長時間勉強机に向かっている子の中には、きれいでカラフルなノートを作る事に意識を奪われている場合もあります。
勉強が出来る子のノートが機能的で美しいという事であって、きれいなノートにすれば勉強が出来るようになるのではないのです。目的がノート作りに向いている限り、勉強の内容が頭に残ることはないでしょう。
このように、勉強が出来ない子は【学習に気持ちが向かない】特徴を持っています。
ただ、間違えてはいけないのは、この子達は人格的には問題がないという事です。学級崩壊を引き起こす児童は、学習が追いついていない場合も多いようですが、ほとんどは、優しく、真面目な子という印象です。私は、性格と勉強の出来不出来はほぼ無関係と考えています。
家庭に見られる特徴
本人の特徴もありますが、家庭にも子供の気持ちが学習に向かない原因があるかも知れません。
例えば、生活習慣が不規則。
毎日同じ時間に起きない事や寝ない事を許していたり、食事の時間がバラバラだったりと、子供に規則正しい生活を送らせていないと、勉強する意欲は育ちません。
そもそも、不規則な生活の中では、勉強時間を確保するのが難しくなります。
そして、家庭内に学習環境がない場合もあります。
両親が不仲であるとか、常にざわついているとか、おもちゃやゲームなどがすぐに目につく場所にあって、誘惑が多いとか、色々な要素がありますが、学習環境が整えられない場合、子供の意欲は湧きません。
また、家庭が学習に対して楽観的すぎると、子供は意欲的に学ぶ機会を失います。
「勉強より大切な事がある」と堂々と言ってしまう親の子は、勉強を大事にしません。
家庭がテストの点数を全く気にしない場合も、子供は「これでいいんだ」と感じて、勉強しないでしょう。
そして、ありがちなのが、何でも教えてしまう・何でもやってあげてしまう家庭です。
我が子には、色々知っていて欲しい、学んで欲しいと思っているとしても、子供の疑問に大人が解答を示してしまっていては、本人が調べたり、考えたりする習慣がつきません。
このように、本人の資質以外の部分で、勉強できない子になってしまう家庭があるようです。
勉強出来ない子に、親はどう関われば出来る子になる?
「うちの子、やれば出来ると思う!」そう感じているのに、思ったように勉強に向かわない我が子にヤキモキしてしまう親御さんも多いことでしょう。
勉強しなさいと言っても、全く伝わらない!そんなイライラを感じているかもしれませんね。
ただ、勉強出来る、出来ないは、学習習慣のあるなしで決まると言っていいのです。
そして、学習習慣は親の関わり方で身につけさせることが可能!
子供の学ぶ意欲を高める習慣を実践してきた家庭の例と、これから学習習慣をつける為の方法を見ていきましょう!
親が学ぶ姿勢を見せて、子供の意欲を伸ばした例
私の知人の子は、長男が中学校から親元を離れ、寮のある進学校に入りました。その下に女の子がいるのですが、こちらもまた中高一貫の進学校に進んでいます。
ここの親は、とにかく夫婦で当時小学生の子供たちを科学実験教室に連れて行っていました。図書館や、博物館・美術館にも家族で出かけたと聞いています。
また、漢字検定を受けさせていたのですが、家族賞を目指して、子供たちと母親が一緒に勉強し、受験をしていました。受験の級が違っても、親子で同時に合格すれば賞状をもらえるというので、目標が出来て良いとのこと。
【日本語漢字能力検定/家族受検表彰制度】
https://www.kanken.or.jp/kanken/family/
更に、毎日の宿題や自主学習をやっている時、母親も一緒に資格試験の勉強をやっていたといいます。このように、家庭学習の習慣を、親子で作っていたわけです。
子供は、親を一番身近な手本として成長します。
『宿題したの?』『勉強しなさい』と言っておきながら、お父さんやお母さんは、スマホやゲームや漫画にテレビ。なんてことはありませんか?
『大人は、仕事があって疲れている』もちろんそうだと思います。
でも、子供だって昼間は学校で勉強してきていますよね。放課後には、習い事を頑張っている子もいるでしょう。子供はその上に、宿題や自主学習を課せられているのです。
仕事と学校や習い事を一緒には出来ないのを承知の上で言えば、子供にとっては【仕事中の親の姿】は見えません。【一緒にいる時の親の姿が、子供の手本】なのです。
勉強好きな子供の親は、我が子の気持ちが学びに向かうように、何かしらの手を打っています。この家庭の場合は、両親共に仕事を持っていましたが【学習経験をたくさん持たせ、興味を引き出す】【親が勉強する姿を見せる】を方針として、学習習慣をつけようとしていたのです。
中学生や高校生になってから、突如勉強好きになって、出来る子になるパターンはほぼありません。珍しいからこそ、高校生から勉強を始めて名門大学に合格したなんて話が映画になったりするわけです。
志望校に合格する学力を持つ、勉強が出来る子のほとんどが、小学生の内から勉強の習慣があり、その習慣は家庭によって作られています。
スモールステップで、脱・勉強が出来ない子!
子供の意欲を高めるために、頻繁に色んな場所に連れて行ったり、一緒に勉強したりなんて無理!という家庭の方が多いかもしれません。
ただ、前述の家庭は単なる一例です。
要は、学習習慣をつけることが、勉強出来ない子から脱却する唯一の方法なのです。
では、どのようにすれば、勉強好きで出来る子になるの?と思いますよね。
キーワードは【スモールステップ】です!
【簡単に出来る事】を繰り返すのが、良い習慣をつけさせることにつながります。
教育心理学の分野では、子供の元々の頭の良さではなく、いかに学習習慣を身につけているかが、テストや受験の成績に結びつくと示されています。
まずは、『本は座って読む』『書く時は机で』という基本的で【出来て当たり前な部分】から始めて、30分を目標に『座って勉強する時間』を作り出しましょう。
自分の部屋である必要はありません。リビングでお父さんやお母さんと会話しながらでもいいのです。とにかく30分間座って、宿題なり自主学習なりをするのを毎日続けます。
もし、座り続ける事が難しいようであれば、寝転がってやってもいいので、30分を目標に勉強の時間を設けましょう。出来るようになってきたら『座って学習する』に移行します。
30分の学習習慣がついてきたら、時間を伸ばしたり、自分の部屋での学習時間を増やしたりと、徐々に出来る事から習慣化していきましょう。
大事なのは、この【勉強時間を確保する】とは、どういう意味かという事です。
最初から自分の部屋で、ひとりで30分間勉強するのは、勉強が出来ない子には無理。
なので、親の目や声が届く場所でいいとお話しました。
そして、その場所の環境にも気をつかって欲しいところ。
リビング学習の利点は【テレビの音や人の声や気配がするのが、却って集中力を高める】と言われるのですが、勉強ができない子には当てはまらないと思ってください。
無音の環境でなければならないとは言いませんが、少なくとも【子供が好きな番組】が流れている場合、勉強時間に向きませんね。
あと、家族の誰かが側でゲームをやっていたりすると、集中して学習に取り組むことはできないでしょう。
勉強できない子の気持ちを学びに向かせるには、家族の協力は不可欠。
時間になったら、テレビやゲームはお休みにするなど、落ち着いた時間を毎日の中に作ってあげましょう。
学習習慣をつけやすくするには、環境と時間だけでなく、与える課題も大切です。
九九が出来ない子に、掛け算の筆算やら割り算やらが出来る訳がありません。
本人の学年ではなく、【どの段階まで習得しているのか】を見極め、出来る所まで立ち返って、確実にこなせる問題から徐々にレベルアップするようにしましょう。
子供がやる気を出すには、小さな成功体験の積み重ねが有効です。
30分勉強出来たら褒める。簡単な問題でも、自力でやり切ったら褒める。
その繰り返しで、学習習慣を身につけ、勉強できない子を卒業しましょう!
まとめ
勉強が出来ない子の特徴は、ひと言で表現すれば【学習習慣がない】という事です。
残念なことに、子供は自然に勉強好きとはなりません。
『あの子は勉強がよくできる』と近所で評判の神童も、勝手にそうなったわけではないはず。必ず、親の支えがあります。
子供は、親の言動をよく見ています。
学ぶことの楽しさや大切さを示さない親の『勉強しなさい』は通じません。少なくとも、我が子が学習に向かう為の習慣作りは、お父さんやお母さんの仕事といえるでしょう。
勉強が出来ない子から脱却する唯一の方法は、学習習慣をつけることとお話しました。
短時間でもいい、とにかく毎日続ける事が子供の学力を伸ばし、出来る事が増える事で、子供は勉強への意欲を高めていくのです!