みなさんネグレクトという言葉はご存知でしょうか?私が初めて聞いたのはまだ子どもを出産する前で、正直自分には一生縁のない言葉だと思っていました。
しかし、いざ、出産して子育てが始まるとしつけとネグレクトといった部分の境界線は曖昧で、叱り方や宥め方、納め方などその都度得た情報によって変わってしまい親子で混乱することがありました。
ネグレクトはただ無視をしたり身の回りの世話をしないだけではないようです。ずっと一緒にいるのですから「あれ?これはネグレクトになる?」と思うような接し方をするときもあるかと思います。このように明らかなネグレクトではなくても知らない為に軽くネグレクトのようになってしまうママもいるのです。
もし変えたいと願った場合、やり直しはきくのでしょうか?そして、もしネグレクトを受けている子どもに周りができることとはなんでしょうか?この機会にネグレクトについてと考えてもらいたいと思います。
ネグレクトされた子の特徴とは?
ネグレクトを受けている子どもは特徴があります。
・清潔感がない
赤ちゃんのころはおむつかぶれや湿疹などが出来やすく、成長してからも衣服など不潔なまま身につけるので皮膚病や感染症になりやすくなります。
・病院に行かない
予防接種や定期健診に行かないのはもちろん、高熱や虫歯になっても病院に連れて行ってもらえないので重篤化しやすくなります。
・距離感がない
愛情に飢えているので優しくしてくれる人には際限なく甘えてきます。優しい人を独り占めしたい一心でその人の大事な人へ危害を加えることもあるので、しっかりと出来ることと出来ないことを伝えるようにしてください。
・暴力的で弱い者イジメをする
ずっと怒りや悲しみを押し殺して生活しているので、外で嫌なことがあったとき感情のコントロールができなくなります。
・夜遅くまで外にいる
・食事への執着がすごい
その日の気分で食事が与えられなかったり、全く与えられなかったりするので、人から与えられる食べ物や給食に異常なほどの執着心を見せます。また、親から与えられない愛情を紛らわせるため過食に走ることもあるようです。
・薄着で冬場も外にいる
などがあげられます。
ネグレクトされた子はどんな成長をするの?
大人でも無視されたり気にかけてもらえないと毎日が辛いですよね?それを親からしかも毎日受けているのですから何も影響がないはずがありません。
・体への影響
食事が満足に与えられないので、低身長・低体重の子どもが多いです。脳にももちろん栄養がいかないので考えることや集中することが苦手になります。
また、栄養面を全く気にしない食事ばかりを与えられて肥満傾向にある子どももいます。
・心への影響
愛情を与えられなかったり、辛い記憶からフラッシュバックや夜驚症、記憶が欠落する乖離状態になることがわかっています。他にも情緒が安定しなかったり、自分を大切にしない、無気力などの様子も見られます。
ネグレクトは心にも体にも大きな傷を作ることがわかっています。それは大人になったときの全てに関わることです。
何よりも怖いのはネグレクトを受けて育った子どもは自分の子どもにも同じようにしてしまう傾向にあるそうです。そういう接し方しか教えてもらっていないので当たり前なのかもしれませんが、この悲しみを何人もの子どもが体験すると思うとやりきれなくなりますね。是非とも自分の子どもには優しさを覚えてもらいたいと思うはずです。
どうしてネグレクトが始まるの?
ネグレクトを行っているほとんどの方がネグレクトをしようと思って出産をしていません。スタートラインは同じなのになぜ、ネグレクトをする親、しない親にわかれていくのでしょうか?
子どもではなくネグレクトをする親が問題を抱えていることも少なくありません。
- 夫婦の不仲や経済的問題や家族の病気
- 近隣や親類からの孤立
- 手のかかる子、育てにくい子どもであること
- 何らかの事情で長く親子別々に生活していたりして子どもに愛着をもてないこと
などがあげられます。
また、私は子どもを産むまでは子どもとの生活がこんなに大変だとは思っていませんでした。子どもの育て方は学校では教えてもらいません。なのに命が宿ったときから急に命を預かる責任者です。
自分の子どもの人生がかかってると感じたときに非常に重圧を感じました。もともと責任感がそこまで強くない私がそう感じるのですから、計画的な人や子どもへの責任感が強い人は尚更自分を追い詰めてしまうかもしれません。
ネグレクトも虐待も紙一重です。どんなに穏やかそうな赤ちゃんでも「この子と1日家で二人きりで過ごすと頭がおかしくなりそうになる」という言葉をよく聞きます。私自身、スレスレと言いたいところですが、がっちりとネグレクトに当てはまった項目がありました。
まずは誰でも起こり得ることだということを理解していただけたらと思います。
積極的ネグレクト
これは育児を十分に行える環境が整っているにも関わらず、明確な意思を持って拒否している状況です。
いろいろな理由から育児に対するモチベーションが下がってしまったり、面倒に感じてしまったりして食事を出さなかったりおむつを替えてあげなかったりすることです。
完璧主義のママやとても子どもを待ち望んでいたママに多い傾向かもしれません。決して1人で乗り越えようとせず誰かに相談してください。私は保健師さんなど専門の方だと話しやすかったです。自分のことを受け止めてもらえるととても心が落ち着きます。言える範囲で結構ですのでぜひ誰かに話をしてみてください。
消極的ネグレクト
積極的ネグレクトと違い、経済的理由や、親自身が病気で思うようにお世話ができない状況の事をいいます。
知的障害があったり、自分も幼少期ネグレクトを受けていて養育の知識が無い場合も含まれます。
この場合も第三者の方の手助けが必要になります。
隠れネグレクト
これは高齢者や高齢で出産したママに多いと言われています。かわいすぎるからといって極端に甘やかしてしまい、心の成長が損なわれてしまいます。愛からくる行動なのでしょうが長い目で見るとこどもの為にはよくありません。
スマホネグレクト
最近急上昇しているようです。心当たりの多いママも多いのではないでしょうか?ちょっとした空き時間にスマホを始めたけど、結局きりよく終われなくて子どもに話しかけられても生返事になってしまうことはありませんか?気持ちを込めて応答出来ないと軽度の愛着障害になるようです。
これはなかなか自覚ができにくいネグレクトと言われています。子どもに「ママはスマホばかり」と言われる前に1度自分の行動を振り返ってみましょうね。
もし周りにネグレクトをされている子どもがいたら?
速やかに関係機関へ連絡をしてください。今はなかなか他人の家庭に足を踏み入れにくい世の中になっています。しかしだからこそ気付いた人が声を上げなくては最近ニュースでよく聞くような事件が起こってしまうかもしれません。
そうなってしまうと「あの時思ってたのに」と暗い影を落としかねません。その子どもの将来のためにも自分の心の為にもぜひとも勇気を出していただけたらと思います。
終わりに
ネグレクトは決して関係のないものではありません。誰にでも起こる可能性のあるものです。だからといってそうならないようにと1人で気持ちを張り詰めながら育児をするには限界があります。
自分のためにも子どものためにも笑顔が増える生活を探してみてくださいね。