近年は親から子への虐待というニュースをよく目にします。
ニュースで見る事件は辛いものばかりで、聞くだけで耳を塞ぎたくなります。
しかし報道されるのはほんの一握りで、実際は悲しいことに親からの虐待でたくさんの子どもたちが、辛く悲しい思いをしながら過ごしているのです。
子どもへの虐待は叩く、蹴るなどの体に直接与えるものだけでなく、育児放棄(ネグレクト)、そして近年増加しているのは子どもの心の中を傷つける心理的虐待があります。
心理的虐待というと、言葉の暴力が挙げられます。
親からの言葉の暴力というのは一生心の傷として残り、トラウマになります。
トラウマを持っていると、自分では気付かず無意識のうちに感情や思考、発する言葉や行動などに影響を与えるのです。
親が何気なく言った一言でも、子どもにとっては忘れられない大きな傷として残るかもしれません。
親からの言葉の暴力を受けた子どもはどのように育つのか、決して言ってはいけない暴力的な言葉の例も挙げながら、ご紹介します。
親からの言葉の暴力とは?言ってはいけないのはこんな言葉!
言葉の暴力とは、言葉による虐待、いじめの事です。
以下のようなことがそれに当たります。
・なりふり構わず怒鳴り散らす
「どうしてできないの!」「言うこと聞かないならご飯あげない」「ちゃんとできないなら叩くよ!」
など、脅迫的に子どもが聞いたら嫌な気持ちになるような事を繰り返し言い続けると、子どもの心や自尊心を傷つけます。
・びっくりするような大声で叫ぶ
「ダメでしょ!」などと親が叫ぶように怒ると、子どもはびっくりして萎縮します。
そして常にビクビクしていて、自分に自信を持てない子に育つのです。
・からかったり、馬鹿にする
親から屈辱的なからかいを受けたり、馬鹿にされたりしてきた子どもは、自分が親からされた事と同じことを他人するという傾向があります。
・きょうだい間で差別する
同じお母さんから生まれたきょうだいであっても、性格や年齢、性別も違う場合もあるので、同じように育てても親の思い通りにはならないものです。
しかし、「お姉ちゃんはできるのに」「弟はお兄ちゃんと違って優秀だね」などと、極端に差をつけるような言動は、言葉の暴力にあたります。
子どもがきょうだい喧嘩をしていると、「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい!」と上の子につい言ってしまうことありますよね。
それも差別になり子どもの心の傷になりかねません。
子連れで再婚した夫婦の間に新しく赤ちゃんが生まれた時に、赤ちゃんだけかわいがり、もともといた子どもに暴力を振るったり、暴言を吐いたりするというケースもあります。
親からの言葉の暴力を受けた子どもはこう育つ
親からの言葉の暴力を受けて育った子どもは、自分を否定されたという気持ちになり、トラウマになる可能性があります。
自分の良いところがわからなくなり、強い自己否定の気持ちが生まれます。
大人になってからも自己肯定感が全く持てず、コンプレックスの塊のような人になってしまうのです。
さらに、自分を否定し、親に対する不信感も出てきます。
「自分は親から愛されていない」「大切に思ってもらえてない」と感じるようになります。
言葉の暴力を受け続けると、そうなるのは当たり前のことですよね。
一番身近な存在の親に対して不信感を持ってしまうと他人に対しても不信感も感じるようになり、人間不信につながります。
人間不信になると被害妄想も強くなり、人とのコミュニケーションが取れず、良い人間関係が作れない子になる可能性があります。
言葉の暴力にならないために 叱り方を意識しよう
日々過ごしていると、子どもに怒る、叱ることもあると思います。
「叱り方」というのはとても大切で、一歩間違えると言葉の暴力になってしまいます。
例えば、
「何度言わせるの?あなたは何度言ってもダメね」
「こんなことで泣くなんて!弱虫だね」
「こんなこともできないの?バカじゃないの?」
「またやらないでサボって。ずるい子だね」
このような言葉は、子どもの自信を失くします。
特に、後半の一言は言わなくてもいい余計な言葉です。
「何度言ってもできない」時に、「ちゃんとして!」と声を荒げることもあるかと思います。
しかし「ちゃんとする」というのはとても曖昧な表現で、子どもには残念ながら伝わりません。
「約束の時間に間に合わないから、今から自分で○○してね」
「立つと危ないからしっかり座っててね」
など、具体的に伝える必要があるのです。
「具体的に伝えよう」と意識していれば、カッとなった時にも一呼吸おけて冷静に注意することができます。
最後に
言葉の暴力は身体的な暴力やネグレクトのように、見てわかるものではありませんが子どもの心を深く傷つける虐待です。
「これって虐待?」と自分自身で悩んでしまったり、近所で子どもを怒鳴る声が良く聞こえるな、周りに子育てで悩んでいる人がいるな、と感じた時には、局番なしの「189」へ電話相談をしましょう。
最寄りの児童相談所に繋がります。
小さなことでも早い段階で相談することが第一歩です。
通報者のプライバシーも守られますので、迷わずに1人でも多くの子どもを救ってあげましょう。
何気ない一言が子どもの心を深く傷つけることもあります。
自分がいつも子どもに発している言葉も振り返ってみて、言葉の暴力性に気付くことも大事なことです。
そしてどんな暴力も良くない、ということを大人である私たちがしっかりと子どもたちに伝えていかなければなりません。
もしも言ってはいけないことを子どもに言ってしまった時にはすぐに謝り、「あなたのことが大好きで大事だよ」と伝えるだけで子どもの受け止め方は変わります。
親も人間です。間違う時もあります。
その時には気付いて修正する。
そうやって親子の信頼関係を結ぶことができれば大丈夫です。
普段からしっかりと親子のコミュニケーションをとり、後悔のない子育てをしたいですね。