赤ちゃんが壁を「ドンドン」と叩く行為ってどんな意味がある?

赤ちゃんが物に興味を持ち始めることで手足を動かすようになり、次第に叩く行為を覚えていきます。物を叩くことで物が壊れたり、親を叩くことで親が痛がったりする経験はあるのではないでしょうか。また、隣の家と接している壁を叩くことがあったら、迷惑をかけているのではないかと心配ですよね。

「なぜ『叩くと痛い』と分かるはずなのに、叩くことを辞めないのかなー?」と悩んでいるのであれば、赤ちゃんの叩く行為をしているときに考えていることを知ることで、どのように赤ちゃんと関わっていけばよいかみえてきます。

赤ちゃんの考えていることを知らないまま、叩く行為がダメだからといって注意しても赤ちゃんの叩く行為はますますエスカレートするばかり。さらに、親が赤ちゃんに叩いてしまうという虐待につながってしまいます。

赤ちゃんの叩くという行為の理由を知っていると、赤ちゃんとの関わりが楽しくなってきます。なぜ叩く行為をするのかをみていきましょう。

赤ちゃんはなぜ“叩く”行為をするの?

大人は意図して叩く行為をしているので、他の人からも叩いている目的は見ていればある程度理解することができます。しかし、赤ちゃんが叩いている目的はパッと見ただけでは分かりません。そこで、赤ちゃんが叩く行為をしている理由を5つ挙げてみたいと思います。

物を触る行為の延長および新しい運動

赤ちゃんがぬいぐるみで遊んでいる場面で考えてみます。生後4ヵ月頃から一人遊びを覚えていくので、五感を使ってぬいぐるみを遊んでいく中で、初めのうちは軽く触っていたり撫でたりしたつもりが、力が入り過ぎて握ったり叩いたりしてしまいます。

赤ちゃんは、日ごとに体を自由に動かせるようになっていきますが、微妙な力加減はまだまだ難しいものです。だから、赤ちゃんは全く悪気のない中で叩いてしまうのです。

また、手のひらを叩くとき、パチパチやバンバンと音がなりますよね。このときの叩いた時の音や感触が楽しいので、何度も繰り返して叩こうとしています。赤ちゃんは、叩くという新しく覚えた動作を遊びにして楽しむのです。

赤ちゃんの意思表示

赤ちゃんは「お腹が空いた」「おもちゃを取って」というアピールは泣くことで親に知らせていました。体を動かせるようになってくると、そこに手を叩く動作も加わってきます。

「寂しいから、かまってよ!」「眠いから、抱っこしてよ」「おもちゃが取れないから、取ってよ!」と、ぐずりながら叩く、奇声をあげながら叩く場合は、赤ちゃんの意思表示をしています。

壁を叩く時って?

先程、「手を叩くと音が鳴るから楽しい」と書きました。赤ちゃんは好奇心旺盛なので、手を叩くだけでなく、いろいろな物を叩くようになっていきます。その中で、壁を叩くこともあるでしょう。「これを叩くとどうなるのかなー?」「どんな音が出るのかなー?」「この向こう側はどうなっているのかなー?」などと興味を持っているかもしれません。また、「はやくしてー!」などと気持ちを出しているかもしれません。

外部からの影響

赤ちゃんは、親の行動やテレビなど周囲の刺激をよく観察しているので、それを真似ることがあります。戦闘や暴力を振るっているシーンのあるテレビやDVD、ネット動画を見ていると、乱暴な言動を自然と身につけることになります。

不適切な養育環境

何よりも一番怖いのは、親のしつけによって赤ちゃんが叩くことを覚えることです。赤ちゃんに対して口で言っても分からないから親がバシバシ叩いて赤ちゃんをしつけてしまう、つまり典型的な虐待です。

親から暴力を振るわれる身体的虐待を受けている場合、赤ちゃんは、親の粗暴な行動をマネして人や物を叩くようになっていくのです。暴言・暴力を伴う夫婦げんかは要注意です。

また、親から大声で怒鳴られた、暴言を言われた、親が不在な時間が多かった、育児放棄をされたなど、親による心理的虐待やネグレクトを受けてしまった赤ちゃんは、叩くことなど粗暴な行動を行ってしまいます。

理由として、心理的虐待やネグレクトを受けることによって、「親に受け入れてもらえていない」「親に見捨てられてしまう」といった感情を抱き、強い不安感とストレスを感じます。その不安感とストレスを言葉で表現して解消することができないので、叩くといった粗暴な行動で発散するようになってしまいます。

どうすれば叩かなくなる?

他人の叩く行為を赤ちゃんに見せないことです。不適切な養育環境で赤ちゃんが育つと、その赤ちゃんは不適切な行動を学習してその行動を繰り返すようになっていきます。つまり、“叩く”ことを学習すれば、“叩く”ことを繰り返すわけです。

ストレスで物を叩くことに対しては、おもちゃを渡したり、好きなテレビ番組をつけたり、他に赤ちゃんの興味を引きつけるような物を見せたり、音が鳴るおもちゃを買ってみたり・・・。また、壁を叩いてしまうことに対しては、壁紙シールを貼ったり、壁に段ボールを立てかけたりするとよいでしょう。

まとめ

赤ちゃんの叩く行為についてみてきました。まとめると、叩く行為は

・物を触る行為の延長および新たな運動の一つ

・泣く以外の意思伝達行為の一つ

・物に対して興味を持ち始めている

・養育環境によって、善くもなり悪くもなる

叩くという赤ちゃんにとっては新しい運動を親子で楽しみ、健全な“叩く”行為を覚えさせていきましょう。