近年、親権者からの暴力により、幼い子供が命を落としてしまうという、悲しい虐待事件が後を絶ちません。
子供を持つ親として、そのようなニュースを聞くたび、怒りがこみ上げてくると同時に、日頃の子供への接し方について、考えさせられます。
子供を死に追いやる程の暴力なんて、自分や周りには無縁だろうと思いませんか?
そもそも虐待だなんて、ほんの一握りの親の話だと、私も思っています。
しかし、子供にとって、親は絶対的な存在です。自分はそんなつもりはなくても、親の言動は、子供を深く傷つけてしまうことがあります。
では、暴力とは、何なのでしょうか。親権者から暴力を受けた時、子供には一体どのような影響があるのでしょうか。
子供への暴力とはなにか?
暴力と言われて、真っ先に思い浮かぶ行為は、殴る蹴るの行為ではないでしょうか?
しかし、子供への暴力は、次のような種類に分けられます。
身体的暴力→殴る、蹴る等、子供の体に傷をつけるような行為
精神的暴力→暴言、おどし、無視、きょうだいと比較し、けなすなどの行為
ネグレクト→置き去りにする、食事を与えない、部屋に閉じ込める等の、育児放棄行為
これらの暴力がエスカレートしていき、虐待に繋がる可能性もあります。
親が、ついカッとなっておこなってしまう暴力は、叩いてしまう、怒鳴ってしまう、ではないでしょうか。
暴力を肯定するわけではありませんが、親も一人の人間です。イライラすることも、怒ることもあるでしょう。
しかし、暴力を振るってしまった後、怒鳴ってしまった後、親は、罪悪感と後悔にかられるのではないでしょうか。
そんな時は、子供に謝り、子供と話し合うことで、子供への暴力の影響をなくすことは可能です。
しかし、継続的な暴力、必要以上な暴力は、子供をどんどん追い詰めていきます。
そんな子供たちには、身体的にも、精神的にも、次のような影響を及ぼす可能性があるのです。
暴力が子供に及ぼす悪影響
脳が萎縮する
暴力、暴言を受けたりすることで、子供の脳が萎縮、変形するといわれています。
前頭前野(感情や思考をコントロールし、犯罪抑制力にもつながる)、右前帯状回(集中力、意思決定、共感にかかわる)、左前頭前野背外側部(物事を認知する働きをもつ)などの脳の一部に影響を受ける事が分かっています。
これらは、ストレスホルモンが大量に脳に分泌されることで、脳の発達を一時的に止めてしまっている事が原因だと言われています。
自己肯定感が低い子どもになってしまう
人間の命を支える重要な感情は、自己肯定感だと言われています。自己肯定感とは、自分が好きだという気持ちです。
自己肯定感が安定していると、失敗しても自分を認めてくれる人がいるという、安心感を持って生きていけます。どんな困難にも立ち向かう事ができ、前向きに生きて行けるのです。
暴力を受けた子供は、自己肯定感が低いと言われています。自分は悪い子だ、自分は何をしてもうまくできるはずがない、いらない人間だと、思い込んでしまいます。
愛されていない、生まれてきてはいけなかったんだと、信じて疑わなくなります。
また、他人を愛すことができず、他人の命も大切にできなくなります。
噓を子供になる
バレたら親に怒られる、また暴力を振るわれるという恐怖心から、嘘をつくようになります。自分を守るために、嘘をつくことが日常的になり、ひどくなると、自分でも何が嘘か本当か区別できなくなります。
攻撃的な行動をとるようになる
親から暴力を受けた子供は、暴力が問題を解決する最良の手段だ、と思い込んでしまう傾向にあるそうです。
そのため、攻撃的、衝動的な行動をとるようになります。すぐに、叩いてしまったり、言葉よりも、先に手がでてしまうようになります。
また、欲求のままに動く、我慢のできない子になりやすいと言われています。
そのため、友達や、周りの人との人間関係がうまくいかなくなり、孤立しがちです。
以上が、暴力を受けた子供の受ける影響です。
しかし、まだまだ暴力が子供に与える影響は、沢山あると言われていますが、暴力の度合や、状況により、それらは違ってくるのです。
まとめ
暴力が子供に与える影響は、分かっていましたが、一つもいいことはありません。
幼少期の暴力がエスカレートしていくと、子供への悪影響も大きくなり、子供が大人になってからも、その影響が続いていくのです。
犯罪者は、過去に親からの暴力や、虐待を受けているケースが多いそうです。それは、自己肯定感が低く、命を軽く扱っていること、攻撃性、衝動性がある事が影響しているそうです。
うつ病になったり、他者との接触を嫌い、引きこもりになるケースも少なくないのです。
子育てにおいて一番重んじることは、いかに子供に沢山の愛情を分かりやすく伝えられるかだと、考えさせられます。
子育ては簡単ではありませんが、暴力を手段としない子育てを、理想にしていきたいですね。